2024.08.29
CATEGORY : コラム
近年注目されている空き家の活用、そしてリフォーム・リノベーションという住まい方。当社でも中古物件を購入され、フルリフォームやフルリノベーションしたいという方からのご相談が多くなってきています。今回はその社会背景やメリット・デメリット、費用相場や補助金などについてまとめてご説明させていただきます。
総務省の住宅/土地統計調査の集計によると、2023年10月1日時点の国内の空き家数は900万戸。これは調査以来最多で、1993年時点の448万戸から30年間で倍増していることになります。空き家を放置すると倒壊・火災・害獣発生などのリスクにつながり、地域全体に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、空き家の流通と再利用を促進させようと、国を挙げて補助金制度の整備や法改正などを進めている段階です。
また、物価高や資材高騰などにより、新築・注文住宅にはなかなか手が出しにくくなっているという時代背景もあります。このような状況を受けて、近年は空き家のリフォーム・リノベーションへの注目度が高まっており、マイホームを持つうえでの選択肢のひとつとして認知されてきています。
空き家×リフォームには、以下のようなメリットが考えられます。
新築を建てるよりも、空き家を購入してリフォーム・リノベーションをする方が、一般的には総額費用を抑えることができます。日本の住宅市場は築年数が経てば経つほど建物の価値が減少していき、築20年以上になるとほとんど土地のみの値段で購入できる場合も少なくありません。
希望するエリアは土地も建物も高く新築は難しい…と感じた場合も、空き家や中古物件まで選択肢を広げることで、予算内で良い条件で家を持てる可能性があります。想定していたよりも駅に近い場所だったり、広い敷地だったりと、嬉しいサプライズが起こることも少なくありません。
空き家を所有している場合や、相続した場合、リフォームして活用することでさまざまなリスクを軽減できます。放置された空き家は「特定空き家」に認定され、固定資産税が最大6倍になってしまうことも。また、空き家期間が長くなると不法投棄や不法占拠、倒壊などによる損害賠償リスクも増加します。リフォームして空き家を活用することで、これらのリスクも自然に回避することができます。
空き家をリフォームして再利用することは、環境保護につながります。空き家を解体して新しく家を建てたり、土地を買って新築を建てたりするよりも、ゴミや廃材を減らせるからです。環境負荷が低いことは、地球に住む私たちにとって大きな利益。そしてさらに、次の世代にとっても大きなメリットになると言えます。
空き家をリフォームする場合、もちろんメリットだけでなくデメリットも考えられます。どちらもしっかり理解したうえで選択しましょう。
空き家は一軒ごとに状態が異なりますし、シロアリ被害や雨漏りなど、工事をしていくなかで新たに分かる問題点もあります。そのような場合、当初の見積もりよりも費用が高くなってしまうことがあり、予算内におさまらない…なんてことも。そのため、最初の段階でギリギリの予算組みをしないこと、そして考えられる可能性や費用などをしっかり説明してくれる業者さんを選ぶことが大切です。
空き家の状態によっては、担保するだけの価値がないと評価され、住宅ローンを組めないこともあります。特に1981年5月31日以前に建築確認を受けた旧耐震基準で建てられた家は、住宅ローンを借り入れるのは難しいようです。その場合、希望の空き家は現金で購入しなければならないことになります。リフォーム費用のみであれば無担保で借りられるローンもあるので、検討してみましょう。
木造住宅は比較的設計の自由度は高いのですが、構造によっては思い通りの間取りにリフォームできないケースもあります。例えば構造上重要な「通し柱」「筋交」などがある場合は撤去や移動が難しく、空間に柱や筋交が残ってしまうこともあります。
空き家をリフォームする際は、以下のような点に注意してください。
1981年5月31日以前に建築確認を受けた家は旧耐震基準で建てられているため、耐震性や耐久性にリスクを抱える場合が多いです。また、2000年の建築基準法改正でも耐震性に関する規定が見直されているため、これから安全に暮らすことを考えるのであれば、2000年以前に建てられた空き家は耐震診断を受けることをおすすめします。
空き家の劣化が構造部分にまで及んでおり、状態が悪ければ悪いほど、リフォームにかける費用が膨大になります。そうなると、建て直すのと金額が変わらなくなるケースもあるのです。とはいえ、空き家の状態がどの程度なのか、どの規模のリフォームが必要になるのかは、一般の方にはなかなか分かりません。建物の調査を行う「インスペクション」が元々入った物件を選ぶか、「インスペクション」をしてもらえる不動産業者を選ぶようにしましょう。
築年数や劣化具合、使い方などによって空き家の状態はさまざま。そのため、リフォーム費用にも物件ごとに差が出てきます。ここでは、大体の相場をご紹介させていただきます。
壁紙の張替え 800〜1,500円/m2
床材の張替え(フローリング) 3〜6万円/帖
トイレ交換 15〜50万円
浴室 50〜150万円(ユニットバスの交換)、65〜150万円(在来浴室からユニットバス)
キッチン 50〜150万円
洗面台 10〜50万円
外壁 60〜300万円
屋根 15〜260万円
耐震補強・改修 25〜150万円
断熱リフォーム(壁に断熱材を施工) 4千円〜3万円/m2
内窓(二重窓)の設置 8〜15万円/箇所
シロアリ対策 1,150〜3,000円/m2(駆除・予防) 25〜100万円以上(被害による劣化箇所補修・基礎強化)
雨漏り 1〜45万円/箇所
なおこれ以外にも、ローンを組む場合は保証料や事務手数料、印紙代などの諸費用がかかったり、建築確認申請の手続き費用、引越し費用などもかかります。
空き家をリフォームする場合、国や地方自治体から補助金・助成金を受けられることがあります。2024年7月現在の、代表的な制度を紹介させていただきます。
断熱などの省エネリフォームを主な補助対象工事とし、子育て世帯だけでなく全世帯が対象となります。ただし、子育て世帯と若者夫婦世帯の補助額の上限が、他の対象者より引き上げられて優遇されています。補助額は最大60万円です。
補助対象工事は窓や外壁、屋根などの断熱工事およびエコ住宅設備の設置を必須としています。さらに、必須工事と同時に行う子育て対応改修やバリアフリー工事なども補助の対象に含まれています。
窓を断熱リフォームすることで補助金を申請できる事業です。既存の窓ガラスを複層ガラスに交換する工事や、内窓設置の工事、外窓交換の工事など、どの方法でも基準を満たす性能であれば補助金の対象となります。窓と同時契約で行う玄関ドア交換も補助対象となります。上限は一戸あたり200万円です。
一定の性能を持つ高効率給湯器の設置に、最大20万円の補助金が与えられるもの。対象となるのは、ヒートポンプ給湯器(エコキュート)、ハイブリッド給湯器(エコワン)、家庭用燃料電池(エネファーム)です。この補助事業では、高効率ガス給湯器「エコジョーズ」では補助対象にならないので注意しましょう。
「子育てエコホーム支援事業」「先進的窓リノベ2024事業」「給湯省エネ2024事業」は、併用することが可能です。ただし、いずれかの事業で補助金をもらった同一箇所のリフォームは、他事業で補助金をもらうことはできません。
なお、自治体の補助制度については原則併用が可能ですが、国費が充当されている箇所には併用ができないため注意しましょう。
(まとめ)
これからマイホームを持ちたいとお考えの方、相続した空き家を持て余している方は、居住用またはビジネス用としてのリフォームを検討してみてはいかがでしょうか。ただし知識やプランがないままスタートするのはリスクがありますので、経験豊富で親身に相談に乗ってくれるリフォーム業者さんを選ぶようにしましょう。
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